スマートフォンの電波を届ける携帯電話の基地局は、24時間365日休まず電気を使い続けています。NTTドコモとNTTは2026年10月20日、この基地局で「通信の処理をどこで行うか」と「電気をどう使うか」をAIでまとめて最適化する実証を始めたと発表しました。両社によると、基地局でこの技術を使う実証は世界初(発表日時点、両社調べ)です。
ここがポイント
- 通信の処理を拠点から拠点へ移す「ワークロードシフト(WLS)」と、太陽光発電・蓄電池の制御(エネルギーマネジメント)を、AIで協調させます。
- 検証するのは3つの場面。①平常時の再生可能エネルギーの利用率アップ、②電力の需給がひっ迫したときのデマンドレスポンス(DR)への対応、③停電時の通信サービスの継続時間の延長です。
- ドコモの基地局(太陽光発電・蓄電池・EMS基盤)と、NTTの研究開発拠点に作ったvRANを模擬した検証環境をつないで実施します。
- NTTは強化学習を使った運用計画の最適化モデル、ドコモは数理最適化とAIを使った運用計画の技術を担当。期間は2026年10月20日〜12月31日(予定)です。
何が新しいのか
これまで基地局では、通信の設備と電源の設備が、それぞれ別々の条件で制御されていました。今回の実証では、この2つをAIが一緒に考えて動かす点が新しいところです。
たとえば晴れて太陽光の発電が多い拠点には通信の処理を多めに集め、自然のエネルギーをむだなく使います。反対に、停電した拠点では処理をほかの拠点に移して消費電力を減らし、蓄電池で動ける時間を延ばして通信を長く保つことをめざします。電気が足りなくなりそうなときは、基地局側が電気の使い方を調整して、電力網の安定にも協力します。
DXマスターの視点
AIの普及でデータセンターや通信網の電力消費が増えるなか、「通信インフラそのものの省エネと脱炭素」は大きなテーマです。今回の実証は、通信会社が電力の調整役にもなれることを示す点で注目できます。
災害の多い日本では、停電時に携帯電話がどれだけ長くつながるかは、暮らしの安心に直結します。通信と電力という2つのインフラを、データとAIでつないで最適化する取り組みは、まさにインフラのDXです。両社は11月の「NTT R&D FORUM 2026」でも展示する予定としています。DXマスター(DX MASTER)でも、6GやIOWNの時代に向けた動きを引き続き追いかけます。