システム開発の最初の工程である「要件定義」に、AIを使う事例です。ROUTE06は2026年11月4日、Salesforceの導入支援を手がけるテラスカイのDXコンサルティング部が、AI要件定義「Acsim(アクシム)」を導入したと発表しました。資料づくりに追われていた時間を、お客さまとの話し合いに回せるようになったといいます。DXを支える側の会社の「AI活用」の事例として、DXマスター(DX MASTER)が紹介します。
ここがポイント
- 導入したのは、テラスカイのDXコンサルティング部。お客さまのいまの業務(As-Is)を整理し、あるべき業務の流れ(To-Be)を設計して、Salesforceの導入をリードする約10名の上流工程の専門チームです。
- 資料作成の工数を、1プロジェクトあたり約150時間減らせたケースも。ヒアリングリストの自動生成から、To-Beの業務フローづくりまでを効率化しました。
- ヒアリングから提案までのサイクルが2回→4回に。4か月のプロジェクトで回せる回数が倍になりました。
- お客さまとの打ち合わせ・議論の時間は体感で約4倍。以前は準備に追われて週1〜2回が限度だった打ち合わせを、1〜2か月で30〜50回行えるようになったといいます。
- 新卒メンバーでも、ほかのメンバーと同じ品質で業務フローを作れるように。育成の面でも効果が出ているとしています。
何が変わったのか
これまでは、業務の流れが文書になっていないお客さまの各部署にヒアリングを重ね、Excelで業務フローを描いては確認し、また情報を足す…という作業のくり返しでした。人によってヒアリングの観点や資料の出来ばえにばらつきが出やすく、4か月のプロジェクトでは、ヒアリングから提案までを2回まわすのが限界だったといいます。
Acsimは、ROUTE06が提供する生成AIのプラットフォームで、現状の把握や課題の洗い出しから、改善の方針、プロトタイプ、設計書の出力までを支援します。テラスカイでは、Acsimの画面をお客さまといっしょに見ながら、その場で業務フローを直して合意する進め方に変わり、「資料を作る人」から「課題を見える化して議論するパートナー」へと役割が変わったとしています。
DXマスターの視点
DXのプロジェクトがつまずく原因として多いのが、「何をつくるか」があいまいなまま進んでしまうことです。要件定義は、経験のある人の頭の中にノウハウがたまりやすい(属人化しやすい)仕事でもあります。AIが下書きを作り、人は「お客さまと話して決める」ことに時間を使うという分担は、ほかの業種のシステム導入にも応用できる考え方です。
一方で、数字は「削減できたケースもある」という一例で、どの案件でも同じ効果が出るとは限りません。AIが作った業務フローを、最後に人が確かめて合意するプロセスを残すことが大切です。AIをどう業務に生かすか――その答えが、資料づくりの時短だけでなく「対話の時間を増やす」ことにある、という点に注目したい事例です。