ゴルフ場でおなじみのカートが、ハンドルを握らなくてもボールの近くまで自動で連れて行ってくれる——そんな未来に向けた実験が始まりました。楽天グループが運営するゴルフ場予約サイト「楽天GORA(ゴーラ)」は2026年10月19日、三菱電機、アイサンテクノロジー、エナジーシステムサービスジャパン(ESSJ)と組み、フェアウェイに乗り入れできる自動運転ゴルフカートの実証実験を始めたと発表しました。楽天は、ゴルフプレーを想定したゴルフ場での実証として「日本において先駆け」としています。
ここがポイント
- 舞台は千葉県香取郡東庄町の「東庄ゴルフ倶楽部」の全18ホール。実施期間は2026年10月2日からです。
- カート庫からクラブハウス前を通り、カート道を使って各フェアウェイへ。ゴルファーを乗せて、自動走行からプレーまでを安全に完結できるかを確かめます。
- カメラやLiDAR(レーザーで距離や形をはかるセンサー)、GPS、複数のセンサーを組み合わせ、決められた複数のルートを数センチ単位の精度で走ります。
- 天候の急変や故障などで自動運転を続けられないときも、衝突防止センサーなどで自動で減速・停止するのが特長です。
- 役割分担は、三菱電機が自動運転の制御ソフトウェア、アイサンテクノロジーがゴルフ場の地図データづくりと運用・安全性評価、ESSJがセンサーシステムの評価・導入とカートの製造。楽天は実証の推進とゴルフ場向けソフトウェアの開発を担います。
何が変わるのか
いまゴルフ場で多く使われている自動走行のカートは、地面に埋めた電磁誘導線に沿って走る方式が中心です。決まった道しか走れないため、フェアウェイの中までは入れません。また、誘導線を埋める工事やメンテナンスにも費用がかかります。
今回のカートは、センサーと地図データで自分の位置を確かめながら走るため、走るルートや速度、立ち入り禁止の場所をソフトウェアで柔軟に設定できます。走るルートを少しずつずらして芝が傷むのを減らすこともできるとしています。ゴルファーにとってはボールの近くまで移動しやすくなり、特に高齢のゴルファーの運転の手間や熱中症のリスク、ラウンド中の負担を軽くできることが期待されています。なお、実証中はスタッフが同乗し、走行の位置やスピードなどを常に見守っています。
DXマスターの視点
自動運転というと公道を走るバスやタクシーが注目されがちですが、ゴルフ場のように場所が限られた「私有地」は、実用化に向けた現実的な舞台のひとつです。走るエリアが決まっていて、高精度3次元地図をつくりやすいからです。地図と測量の技術を持つアイサンテクノロジーは、自治体の自動運転バスの事業にも参加しており、こうした技術がレジャーの現場にも広がりつつあります。
ゴルフ場にとっては、カートの運転ミスによる転倒・転落を防ぐ安全面だけでなく、「フェアウェイまで乗り入れできるプラン」という付加価値をつくれる点も見逃せません。安全とサービスの両方を高める自動化は、人手不足に悩むレジャー施設のDXのお手本になりそうです。DXマスター(DX MASTER)では、サービス化に向けた続報を追っていきます。