Meta は2026年9月8日、個人向けのAIエージェント「Muse(ミューズ)」を発表し、米国で提供を始めました。Meta は Muse を「doesn’t just answer questions, it actually does the work」(質問に答えるだけでなく、実際に作業をこなす)と説明しています。10月12日には、Muse をさらに賢くする新しいAIモデル「Muse Wonder」も発表されました。日本ではまだ使えませんが、「AIが代わりに用事を片づける」時代の姿がよくわかるサービスです。
ここがポイント
- 目標を伝えると、計画を立てて自分で進める:メールの送信、旅行の予約、フォームの入力、ブラウザーを使った調べもの、交渉の代行まで。アプリを閉じたあとも長い作業を続け、状況が変わったときや承認が必要なときに知らせてくれます。
- 身近な使い方の例:Instagram に保存したレシピ動画から買い物リストを作る、友だちの食べられないものを覚えておいてホームパーティーの献立を考え、招待を送る、など。
- 専用の「安全なコンピューター」で動く:Muse は自分専用の仮想マシン「Muse Secure VM」(専用のブラウザー付き)の中で作業します。
- 見張り役のAI「Sentinel」:Muse とは切り離された別のエージェントで、Meta は「Sentinel が認めない限り、Muse の行動はインターネットに届かない」と説明しています。
- 大事な操作の前には本人に確認:メールの送信や買い物の前には必ず確認を求め、やったこと・やる予定のことを記録で見られます。支払いは Stripe の「Link」で1回だけ使えるカード番号を作って行い、本物のカード番号は見せません。
- 使えるところ:iOS・Android のアプリと Web(muse.ai)、WhatsApp からも話しかけられます。AIグラスにも近く対応予定。基本は無料で、もっと使いたい人向けに有料プランがあります。
何が新しいのか
これまでのAIチャットは「質問に答える」「文章を書く」のが中心で、実際に予約したり送ったりするのは人の仕事でした。Muse はその先の「実行」までAIが受け持つのが大きな違いです。
9月29日には、お店や会社向けの「Muse for Small Business」も発表されました。Shopify、Stripe、Slack、Zoom、Canva、Notion、Intuit QuickBooks などのサービスや、Facebook・Instagram のビジネスアカウントとつなぎ、売上やSNSのデータから成長計画を作る、広告の効果を分析して来週のキャンペーン案を作る、返信が必要なメールを見つけて下書きする、といった仕事を手伝います。ここでも「あなたの承認なしに、公開・送信・支払いはしない」とされています。
さらに10月12日に発表された新モデル「Muse Wonder」は、Meta が「これまでで最も高性能」とするモデルで、話した内容を覚えておく力(Active Memory)や、難しい作業でも目標に向かって粘り強く進める力(Active Focus)を強化。今後 Muse に搭載され、まず有料プランの利用者から使えるようになる予定です。
日本ではいつ使える?
Meta の公式発表では、Muse の提供地域は米国から始まり、その後米国とカナダと案内されています。日本での提供時期は発表されていません(2026年10月17日時点)。日本語への対応や、日本のサービスとつながるかどうかも、今後の発表待ちです。
DXマスターの視点
AIエージェントは、2026年の生成AIでいちばん大きなテーマです。Muse の注目点は、便利さと同じくらい「安全に任せる仕組み」に力を入れていることです。専用の仮想マシン、見張り役のAI、送信や支払いの前の本人確認、1回だけ使えるカード番号——AIにメールや買い物を任せるなら、こうした「ブレーキ」が欠かせません。
プライバシー面では、会話を Meta のAIの学習に使わない設定(オプトアウト)ができ、会話や仮想マシンのデータは広告の仕組みには共有しないと説明されています。日本で使えるようになったときは、どのアプリへのアクセスをどこまで許すかを自分で決めることが、上手に使ういちばんのコツになりそうです。DXマスター(DX MASTER)では、日本での提供開始の情報が出たらお伝えします。